2021/10/23
チャーリーは、次の一手が決まるまで、組合の片隅でジッとして居る事となりました。
いくら組合役員で固定給があるとは言っても、全くタクシーを動かさないで生活していけるものではありません。
なんとかして、仕事を一日でも早く再開させないとなりません。
エンジン、全交換。
玉野自動車さんの診断は、あまりにも重かった。
しかし躊躇している暇も無いので、岩本モータースさんへエンジンの手配をお願いするため、受話器を取りました。
程度の良い中古エンジンか、無ければ新品もやむなし。。。
私:もしもし、、、
岩本:まいど!お世話になっております!
私:エンジン、お釈迦になったわ。
岩本:え、なになに!
私:至急、新品でも中古でも、エンジン無いですかね。
岩本:どうしたのさ?
事情説明のため、省略
岩本:そうかあ、、、あのさ、、今ね、互助さんから1台売りに出ていますよ。
私:え?
岩本:ピカピカの3万キロですよ。
「まじかっ!」
私:それ、拝見できますか? 今晩行きますわ。
エンジンの手配をお願いする電話が、車購入の話に発展しました。
何でしょう、この急展開は。
受話器を置いて、しばらく考え込んでしまいました。
チャーリーはエンジンばかりか、ATFクーラーラインからの油漏れ、デフ入力側の油漏れなど他にも不具合は様々抱えていました。
エンジン交換を行ったとしても、寿命まであと何年か?
33万キロという走行キロ数は、ロンドンタクシーとしては未だ充分に走れるレベルと言えますが、今後の修理費用の累積も気になる部分です。
ま、取りあえずクルマを拝見しましょう。考えるのはそれからです。
チャーリーの故障診断のために岩本さんから拝借していたコンピュータを抱え、私は急ぎ湘南新宿ラインに飛び乗りました。
岩本モータースさんは、新宿南口から歩いて10分ほどの新宿御苑沿いにあります。
すっかり暗くなりました。時刻は19時過ぎ。
その車庫前に、白いツナギを着た長身の岩本さんが、寒いだろうに立って待っておられます。
暗くてよく見えなかったのですが、その横には大きな黒いロンドンタクシーが佇んでいます。
岩本さんが連れてきて、待っていてくれたのです。
うわっ! 綺麗だなあ~
同じ車の筈ですが、チャーリーとは全然違います。
外観を一巡りして、何でしょう優雅というか、何だろうこの違いは。
試乗してみての感想は、エンジンが静かで変速のショックが無いこと。
「え?普通じゃん」と思われる方がほとんどだと思いますが、ドカンドカンと反動が来るチャーリーとは真逆な、実に大人しい車でした。
3万4千キロほど走っていますが、タクシー的常識から言えばこれは新車の部類で、修復歴も無いし、文句なしの新車です。
この車、買わせてもらいます。
結局、後先考える間も無く、即決してしまいました。