車両整備手帖
LONDON TAXI TX4 2号車 Marguerite
LONDON TAXI TX4 1号車 Charles
タクシーをタクシーとして使う
ロンドンタクシーTX4というクルマを最初に日本の路上に持ち込んだのは、東京新宿の
岩本モータースという会社です。
私は2013年に岩本さんから新車でTX4を購入し、タクシー車両をタクシーとしてオペレートする第1号になりました。
「タクシー車両をタクシーとして」
などと奇妙な事を書きますが、実は『流し・駅出し・無線営業』というタクシーの基本スタイルを守り、
日々250kmも走行するオペレーションにTX4を使った日本企業は無かったと言う事です。
大事に車庫へしまっておいて、予約で指名が入った時だけ出て行く所謂ハイヤー的な使われ方ですね。
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン的な。(笑)
私のように街なかを流して走るなど、日本では言わば常識外という事でしょうか。
2013年7月、横浜において未だ誰も経験した事の無い毎日が始まりました。
何故走らせないのか?
走れば機械ですから消耗し、部品交換や故障が出てきます。
路上に出れば事故の危険があります。
万一壊せば相当のリスクを負う事になりますので、誰も、まともにこのクルマをタクシー本来の姿として使っていないのです。
それには理由があります。
先ず部品調達からして実にハードルが高いのです。
勿論日本国内に部品在庫など有ろうはずも無く、現地からの調達日数はめちゃくちゃ掛かります。
おまけに部品リストやメンテマニュアルはありますが、全て英語。
普通にタクシー営業を行うに当たって、部品調達の目処を付ける、これは私に課せられた一丁目一番地のミッションでした。
部品調達の壁
まず、大事なエンジン部品は、ロンドンタクシー社へエンジンを供給している三菱自動車の窓口を口説いてルートを開拓しました。
三菱さんは在庫があれば翌日出荷してくれます。
細かい消耗品は、イギリス本国のパーツ屋さん
SPR社をWEB上で探して調達ルートを作りました。
イギリスからのリードタイムは早くて5日、遅くても10日中に入手可能になりました。
大きい部品は岩本モータース経由でないと入らないのですが、こちらは入手までに掛かる日数は本当に読めません。
岩本さんがサボっているわけでは無く、メーカーがのんびりしているのか?数ヶ月待っても入らないケースも。
整備工場の壁
そして、部品を組むにも自分では出来ません。
安心の緑ナンバーを掲げる以上、整備はプロに任せなければ危険です。
ところが、整備屋さんは誰もまず相手にしてくれません。
知らないクルマに手を入れて、壊したりしたら目も当てられませんからね、当然ですよね。
「部品調達はこちらでやりますから」
とコネを頼んで、本当に拝み倒して、私の出身タクシー会社である大栄交通さんに整備してもらっています。
バラせば普通のクルマ、とは言え、大栄さんの協力が無かったら今の私はありません。
特に工場長には足を向けて寝られません。ありがとうございます。
前置きが実に長くなりましたが、以下は私の忘備録的な車両整備手帖です。
他のTX4オーナーさんのご参考になれば光栄です。
ご笑覧下されば幸いです。